07/01/28

「ほら、舐めろ」

そう言われるがままに、目の前のそれを口に含んだ。
けれど、口で愛撫しようにも、それの主である葵長官だって後ろから足を抱えられて揺さぶられているものだから、咥えるのも難しい。
こちらもこちらで四つん這いで清雅に犯されているものだから、俺の口とそれがピッタリ重なる筈がない。
手を使えばもう少し楽に事が運ぶんだろうが、清雅が容赦なく腰を使うものだからそれも叶わない。
息を切らしながら、なんとか舌を這わせようとしていると、

「さっさとしろ。俺に恥をかかすな」

と、好き勝手に揺さぶる清雅にグッと髪を引っ張られた。
なんて野郎だ。
毒づこうにも、動きに翻弄されて言葉はモゴモゴと消えていく。畜生。
そんな俺たちのやりとりを見て、長官を揺さぶっている男が、可愛いねぇ、と笑った。
この状況で笑えるなんてスゲーな、と思ったが、長官をどうこう出来るなんてとんでもない位の人物であることには間違いないので、黙っといた。

男の呟きに、今まで大した反応を見せなかった長官の目が動いた。
ああ、若い子達って本当に可愛いよねぇ、でも大丈夫だよ、一番可愛いのは君だから、
そう言うなり、男に息を封じるように口付けされた長官のそれが、みるみる反応しだした。
目の前の事態に唖然としていた俺の頭を清雅が押しやった。
どうにもこうにも、お貴族様の遊びについていけなくなった俺はやけくそな気分で舐めた。
激しい動きに上唇がまくれようが、口のまわりがぐちゃぐちゃになろうが、舐め続けた。
もはや情交というよりは、喧嘩でもしているような気になった。

どれほど時間が経ったのか、長官を抱いている男もとうとう抑えがきかなくなったのか、ひどく揺さぶり始めた。
その動きに追いつこうと頭をうごかしたら、それが、鼻に押しつけられた。
鼻で息が出来ずに、ふ、と息を吐いた瞬間、鼻の中に粘液が飛び散った。
堪らず、鼻を押さえて派手に咽ると、男が笑いだした。
後ろで清雅も笑う気配を感じた。
長官だけは、俯いているせいでどんな顔をしているかわからなかったけれど、
きっと俺と同じような表情を浮かべているんだろうな、と思った。


[ゆるめの悪夢]