07/08/2?

いつもより好さそうなかの人が、ひどく憎たらしい。

ただ腰を動かしているだけなのに、そんなに差があるものなのか。
僕の前では、そんな顔してくれたためしはない。
全くもって面白くない。
それでも、口を開けっ放しにして身悶える玉さんから目が離せない。
体はどうしようもなく興奮しているくせに、頭は冷めていて、
そのうちに、管尚書の動きを今後の参考にでもするか、とまじまじと観察し始めた。
ふと、管尚書が顔を上げて、に、と笑った。
笑ったというには渋みの利きすぎた表情で、僕はそれをどう受け取ればいいかよくわからなかった。
おい、あちらさん、暇してるぞ。
そう言いながら後ろから玉さんの顎をつかんでグイ、と上向けた。
勿論、動きは止めないから、玉さんはうう、と呻いた。
白く尖ったそれを乱暴に扱われて、何故だか僕があたふたした。
そら、
やはり乱暴に、玉さんの口を差し出された。
開いた唇からぬめる舌と咥内が覗く。
ふらふら誘われるように近づいて、自分の下衣に手を掛けた。
そのとき、外そうとした帯が紅潮した顔に軽い音を立てて当たり、
玉さんはぱっちりと、その瞳を開けた。
先程から開いてはいたものの、がらんどうだった瞳は、徐々に彼本来の色を帯びつつある。
そしてそれと同時に、玉さんは唇をしっかりと閉ざしてしまった。
強い意志を持った瞳に見上げられて、途端に僕は恥ずかしくて堪らなくなった。
急いで帯を床から拾う。
組み紐が幾重にも絡まって、解くのに難儀している視界の端に、
薄い唇がゆるうりと開くのが見えた。
よく、唾液がたまっている。
恐るおそる、玉さんの顔を窺った。
はっきりとした瞳の色は熱く、じっと僕を、見ていた。
僕は下衣を蹴散らすように取り払うと、玉さんの前に膝立ちになった。
ゆっくりと、其れが飲み込まれてゆく。
思ったとおり、そこはぬめぬめと温かく、女人の膣のようだった。
裏に、軟らかい舌が当たるのが堪らない。
思わず呻くと、唇で愛撫を施された。
管尚書がいっそう激しく動き、玉さんも呻いて、その唇が震える。
溢れた雫がぽたぽた、と顎から散る。
ぬめり落ちる雫は、かの人の好きな、白玉によく似ていた。

そう思ったと同時に、僕は管尚書の笑みの意味をやっと理解した。


僕たち、遊ばれてますね。


玉さんに食まれながらその顔を見ると、
やはり苦々しい笑みで僕を見返したのだった。



[アザレアの花蜜]