07/02/19

たわわに実った胸を遠慮なく鷲掴みにされて、思わず息が洩れた。

「龍蓮、あのね、今の私は女人なのだから、扱いはもっと丁重にしてくれないかな」

「愚兄は愚兄だろう」

如何にも可愛くない答えが返ってきたが、それでも体に圧し掛かる重みが軽くなったのを感じて頬が緩む。
これもこれなりに、この事態に動揺しているようだ。
この姿を目にしても驚かないばかりか、いつもの如く寝台まで手を引かれたときはどうなんだと思ったものだが。
無心に乳房を弄る弟は、雄というより不可思議なものに出会った少年のようでいやに微笑ましい。
そういえば、これと寝るときにそんな感覚を抱いたことがないなぁ、と何処かしみじみしながら弟の頭を撫でた。

一方、龍蓮は戸惑いながらも現在の兄の躰に満足していた。
柔らかく豊満で、自然と優しい匂いのする兄は新鮮でいて、官能的であった。
それに何より、其処の具合がとてもよろしかった。
きつく、狭いのは男であったときと同じなのだが奥まで締め付けてくる感覚は女性のもので、ひどく倒錯的なのであった、が。

「愚兄、濡れすぎだ」

「そんなこと言われてもねぇ…」

楸瑛から言わせれば、誰のせいだ誰のと言ってやりたいのだがそれもなんだか情けないので口の中だけでもごもご呟く。

「男性時も多かったが、女性時ではまさかこれほどとは…」

「放っといてくれ!」

しみじみ呟かれてプツン、といきそうになる。
多いというのは、先走りのことであろう。成人男性としてはあまり嬉しくない。兄としては全然嬉しくない。
それにしても、なんだかえらく滑稽だ。
男であったときから龍蓮や兄たちとの行為は何処か滑稽さを感じていたものだが。
けれどあくまでそれは、官能と倒錯に支えられた滑稽さであって、こんな喜劇めいた滑稽さでは断じてなかった。
嗚呼、もうさっさと終ってくれ。

龍蓮は怒りや情けなさを通り越して脱力する楸瑛の其処をまじまじと見つめた。

「体液の分泌量を制御することは出来ないのか?」

出来ないんじゃないか、ともはや投げやりに答えると龍蓮はそうか、と応じて楸瑛の両足を前に折り曲げた。
膝が胸につくほど折り込まれ、楸瑛はその無茶な体勢に目を白黒させる。
一体どうしたことかと問いかける前に、言葉は舌から滑り落ちる。
弟の舌が、其処にグッ、と入り込んでくる。
そうして、音を立てて舐めはじめた。
洩れる息が微かに小さな粒を刺激し、焦れったい。
龍蓮の髪を掴んで、どうにか耐えようとするが、爪先が震え出すのを止められない。
其処の奥がどうしようもなく熱くなり、何かが滲み出てくるのを感じる。
粘膜と粘膜が触れ合う快感は、楸瑛を鎮めるどころか再びの波間に突き落としていった。
頭の隅で、これって意味無いんじゃないか、と理性が囁いたが。
ズズズ、と啜る音に躰はぐずぐずと蕩けていった。


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