07/01/30
後ろから突かれる悦びは、痛みと快楽を平等に引きずり出すようだ。
紙一重で異なるふたつの衝撃を堪えようと噛みしめた唇に、指が触れた。
愛液でぬめる指先は唇を割り、舌を捕らえ、軟らかな輪郭をなぞる。
舌への愛撫に恍惚としていると、冷たい唇が耳を食んだ。
「楸瑛」
肌がざわりと粟立った。
常より低いその呼びかけは、三人の兄にそっくりだった。
「楸瑛、」
再びの呼びかけと同時に腰を動かされ、思わず声が洩れる。
自分の其れが一段と腫れ、動きに合わせてポタポタと零れ落ちるのを感じる。
耳と腰に走る疼きに我慢ならずに、激しく腰を振った。
感じている。
けれどそれは、兄自身に抱かれる悦びを思い出したからではない。
勿論それもあるのだが、私は、弟と兄たちに同時に抱かれる快楽を思い出したからだ。
そして、弟に抱かれながら兄に抱かれる錯覚を引き起こされるこの異常な状況に、酷く倒錯を感じたのだった。
私の狂態の理由を知ってか、またはこの狂態自体に対してか、龍蓮は呆れ果てた様子だった。
「淫乱」
憮然としながら吐き出された簡潔な言葉は、私を煽るばかりだった。
何故ならそんな私に弟も煽られていることを知っていたから、
「今更だろう」
そんな私の呟きは、己の嬌声であっさり掻き消えていった。
[おかしいかしらそうかしら]